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09月30日-一般質問-03号

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  1. 新潟県議会 1975-09-30
    09月30日-一般質問-03号


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    昭和50年  9月定例会 本会議昭和50年9月30日(火曜日)  議事日程 第3号    午前10時 開議第1 第138号議案から第141号議案まで第2 請願第42号から第51号まで第3 陳情第64号から第70号まで第4 県政に対する一般質問第5 第13号発議案   ―――――――――――――――――本日の会議に付した案件 日程第1  第138号議案 決算の認定について(昭和49年度電気事業会計工業用水道事業会計有料道路事業会計)  第139号議案 決算の認定について(昭和49年度新潟東港臨海用地造成事業会計)  第140号議案 決算の認定について(昭和49年度病院事業会計)  第141号議案 新潟県新潟東港臨海用地造成事業利益剰余金の処分について 日程第2  第42号 県立村上高校荒川分校の新築移転に関する請願  第43号 農村総合整備モデル事業神林地区完全実施等に関する請願  第44号 漁業災害補償制度の改善に関する請願  第45号 信号機の設置に関する請願  第46号 県立村上桜ケ丘高校の学級数維持に関する請願  第47号 県立小千谷高校の校舎改築に関する請願  第48号 漁業経営危機打開に関する緊急政策等に関する請願  第49号 県立燕工業高校小中川分校の独立と学級増に関する請願  第50号 スポーツフィールドアスレチツクの設置に関する請願  第51号 昭和51年度農村総合整備モデル事業の予算措置に関する請願 日程第3  第64号 国民健康保険事業に対する県費助成に関する陳情  第65号 通学道路の整備に関する陳情  第66号 三面ダムの改造に関する陳情  第67号 新潟市青山海岸の離岸堤設置に関する陳情  第68号 厚生連佐渡総合病院透析治療施設の併設に関する陳情  第69号 県立佐渡農業高校松ケ崎分校の存続に関する陳情  第70号 むし歯予防対策としての上水道フツ素添加モデル村の指定に関する陳情 日程第4 県政に対する一般質問横山喜八郎君、権平正雄君、竹内十次郎君、大平武君)   ――――――――☆――――――――出席議員(60名)       関山 信之 君  椿  利策 君  中川 良一 君  米山 繁男 君       今井 敬弥 君  江口 秋治 君  大平  武 君  曽我四郎次 君       田辺 栄作 君  権平 正雄 君  今成雄志郎 君  石塚 光雄 君       勝又 一郎 君  竹内十次郎 君  田原幸次郎 君  中川 三七 君       広井 忠男 君  馬場潤一郎 君  細貝 幸也 君  横山喜八郎 君       小笠原正男 君  五十嵐淑郎 君  猪股悌二郎 君  神田 四郎 君       斎藤 一郎 君  斎藤 勝夫 君  轡田 勝弥 君  高山  巌 君       中川 秀平 君  嵐  嘉明 君  桜井  新 君  目黒 武尚 君       布施 康正 君  小林  脩 君  小柳 新一 君  島田 直治 君       長浜 泰雄 君  武田 武夫 君  古川  渉 君  林 十一郎 君       木村 博保 君  近藤 元次 君  岩村卯一郎 君  西川 亀三 君       山岸 敏夫 君  高橋 十一 君  吉川 芳男 君  長谷川 信 君       加賀田二四夫君  祢津 文雄 君  長谷川吉雄 君  川室 道隆 君       遠山 作助 君  角屋 久次 君  戸田 文司 君  福島  富 君       阿部 信夫 君  渡辺 善作 君  江口 金吾 君  高橋 虎夫 君   ―――――――――――――――――議員以外の出席者  知事          君  健男 君  副知事         柳沢 長治 君  出納長         矢野 達夫 君  総務部長        南雲 達衛 君  企画調整部長      笠原健一郎 君  民生部長        多田  博 君  衛生部長        辻林 嘉平 君  生活環境部長      中島 泰明 君  商工労働部長      加藤  孝 君  農林部長        鶴巻 達雄 君  農地部長        善木 正敏 君  土木部長        田中 敏仁 君  新潟東港開発局長    羽入  晋 君  病院局長        今井 俊雄 君  企業局長        市原 哲三 君  教育長         厚地  武 君  警察本部長       寺尾  繁 君  人事委員会事務局長   鶴田  寛 君  地方労働委員会事務局長 山根 俊英 君  監査委員事務局長    高坂 竹雄 君   ――――――――☆―――――――― △午前10時6分開議 ○議長(長谷川吉雄君) これより本日の会議を開きます。   ――――――――☆――――――――人事委員会の意見報告 ○議長(長谷川吉雄君) 御報告いたします。 今期議会に提出された第121号議案について、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を求めましたところ、諸君のお手元に配付のとおり意見の提出がありました。御了承願います。 △日程第1 第138号議案から第141号まで ○議長(長谷川吉雄君) 第138号議案から第141号議案までを一括して議題といたします。 ◆吉川芳男君 ただいま議題となりました第138号議案から第141号議案までは、審査のため企業会計決算審査特別委員会を設置し、これに付託することを望みます。なお委員の選任は、議長の指名により行われんことを望みます。 ○議長(長谷川吉雄君) 吉川君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(長谷川吉雄君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。 お諮りいたします。 企業会計決算審査特別委員会の委員の定数は30名とするに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(長谷川吉雄君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次に、委員の指名は、お手元に配付いたしました委員名薄のとおり指名いたします。   ――――――――――――――――― ○議長(長谷川吉雄君) これより企業会計決算審査特別委員会の委員長及び副委員長互選のため暫時休憩いたします。  午前10時8分 休憩   ――――――――☆――――――――  午前10時9分 開議 ○議長(長谷川吉雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。   ――――――――☆――――――――企業会計決算審査特別委員会の正副委員長の互選結果報告 ○議長(長谷川吉雄君) 企業会計決算審査特別委員会の委員長に  角 屋 久 次 君同副委員長に  江 口 秋 治 君がそれぞれ互選されました。御了承願います。   ――――――――☆―――――――― △日程第2 請願第42号から第51号まで △日程第3 陳情第64号から第70号まで ○議長(長谷川吉雄君) 日程第2、請願第42号から第51号まで、及び日程第3、陳情第64号から第70号までを一括して議題といたします。 お諮りいたします。 請願第42号から第51号まで、及び陳情第64号から第70号までは、審査のため諸君のお手元に配付の請願、陳情文書表のとおり各部門の常任委員会に付託いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(長谷川吉雄君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔請願、陳情文書表は別冊に掲載〕   ――――――――☆―――――――― △日程第4 県政に対する一般質問
    ○議長(長谷川吉雄君) 日程第4、県政に対する一般質問を行います。通告順により発言を許します。 まず、横山喜八郎君の発言を許します。   〔横山喜八郎君登壇〕(拍手) ◆横山喜八郎君 私は、去る4月の統一選挙において、みずから県議会の門戸をたたき、ここに初の県政壇上から、農政を通じての4点について、知事に対し質問をする機会をいただいたことを感謝申し上げるものであります。 戦後30年間、幾多激動を重ねてきた変転の世相中に、常に日本経済復興の役割りを果たしてきた日本農業を顧みたとき、まず第一に言われることは、かつてわれわれの一度も味わったことのない敗戦という冷厳な事実であります。食うに食なく、住むに家なしの悲惨の時代においても、わが日本民族は艱難辛苦を重ね、祖国日本の平和国家、文化国家の再建のためにあらゆる努力をされたのであります。 昭和30年代、テレビの普及により、開け行く日本を知り、池田内閣の高度成長、所得倍増政策は急テンポで大経済国へと大幅な歩みを始めたのであります。 1969年7月21日のアポロ11号による世紀の月面到達を一つの区切りとして、1970年代に入るや、まさに激動するであろうと予言されたとおり、アメリカのドル・ショック、公害の重なる発生、物価の上昇、または中東紛争による油の規制、世界経済はもちろんのこと、日本経済も大きな方向転換を余儀なくされたことは周知の事実であります。人間生活優先の福祉時代に入るや、人口の爆発的増加を知り、エネルギー資源の問題と相合わせ、国民食糧の安定供給確保も大きな課題として論じられたのであります。 さて、このような歴史の歩みを経てきた現実において、農業を取り巻く諸情勢はまさに多事多難と言わざるを得ないのであります。よって、私は、特に農政の一大転機に立たされているとき、質問の要点として農業経営の改革を提唱いたしたいのであります。すなわち、農業の企業化であり株式化であります。 昭和21年、マッカーサー指令に基づく農地改革は、好むと好まざるとにかかわらず地主制度を廃し、自作農創設を試みられ、その発足を見たのであります。3本くわから耕運機、さらにアメリカ農業の移入は耕地整理が企てられ、昭和36年の農業基本法創設はさらに第1次、第2次構造改善が促進をされ、トラクターの導入は大圃場整備事業の推進、コンバインはライスセンター及び乾燥機の必要性を招き、さらに田植え機の実用化により完全に機械化稲作を可能にしたのであります。 こうした農業の省力化は、農業の余剰労働力を他産業へと定着をさせ、日本の工業発展への礎石となりました。また、基盤整備、生産技術の向上、新農薬の普及は、昭和42年度における史上初の米生産量1,445万トンを記録するに至ったのであります。 翻って生産の過程を見るとき、昭和20年代は七、八百万トンに甘んじておったわけでありますけれども、30年代には1,000万トン台になり、昭和42年度において1,400万トン台の生産の実績を得たのであります。 本県においても、昭和42年度に、亘県政の100万トン達成運動も手伝い、18万7,500ヘクタールに89万6,300トン、10アール当たり479キログラムの生産を上げたのであります。そして、記録的な県政史上を飾る43年度の96万6,000トンの生産記録を樹立したのであります。かなり作のよかった戦前の昭和10年度の作付面積、17万7,300ヘクタールで56万9,000トンで、10アール当たり322キロと比較すると、当時の生産量とは雲泥の格差があり、いかに稲作技術が向上したかが知れるのであります。 一方消費の面では、昭和37年度に国民1人当たりの消費量は118.3キログラムであったものが、昭和47年には1人当たり91.7キログラムと、食生活の変化は遺憾ながら漸減の一途をたどり、米の需給バランスが大きく崩れたがために、昭和44年の端境期にはおよそ750万トンの米が余るであろうと言われたのであります。 米消費は、年々100万人から130万人の人口の増加でも徐々に消費が減り、国の試算によると、昭和60年において少なくとも人口約1億2,200万人でも、年間1,200万トンの見込みであると言われておりますので、年間の生産量が平時1,400万トンであるとすれば、少なくとも200万トンの過剰米が出ることになるのであります。 国際価格や品質等、諸般の関連でもし日本米の輸出が不可能の場合、過剰危機乗り切りの体制を考えなければならないわけであります。このため、国は45年度の減反政策、46年から5カ年計画で総合農政の観点から、米生産調整対策を立てたのであります。その結果、転作、買い付け制限という最悪の農業情勢を醸し出したわけであります。 さて、昭和25年度の時点以前は、越後平野には二毛作の麦作の中に、春ともなればヒバリのさえずりが聞こえ、レンゲの花がすばらしい彩りで咲き、その花の上に5月の太陽のほの暖かい日差しのもとに、うたたひなたぼっこをした幼子供のときを思い浮かべるのであります。最近は自家用の大豆、小豆さえも消えてしまい、稲の取り入れが終われば、夫婦とも日雇い、出かせぎの場を求めて散り、農外収入を得て、むしろ近代農機具の投資不足を補っている形であります。 東北のある農夫がこんなことを言ったそうであります。おれたちも出かせぎに行ったことはあるが、恥ずかしくて夜逃げするようにこっそりと行ったものだ、ところが、いまじゃ白昼堂々と出かける、何しろ1日5,000円くらいになるのだからと言ったそうです。昔は米1俵で8人の職人が頼めた。いまはたったの二、三人分、よくわかるような気もします。 しかし、現状における日本の農産物の自給率の低さに驚くのであります。食用農産物総合自給率は、昭和45年度の90%から昭和47年度の73%と落ち込み、主要穀物の自給率に至っては、100%自給の米を含めてもなお43%と低下をしているのであります。主要先進国のオランダに次ぐ低さであるわけであります。 特に小麦の自給率5%は、小麦粉、うどん、パンといった主食類がほとんど外国産の原料からつくられているし、大豆の4%はみそ、しょうゆ、納豆、豆腐といった純日本の味がいつの間にか外国産によってつくられているのであります。日本の穀物輸入量は、年間小麦の538万トンを初めとして実に2,422万トンであり、米の年間生産量を1,200万トンとすると、ほぼその倍の量に当たる穀物を輸入している勘定になるのであります。 このようにして、私は日本農業の過去と現実を語ったわけでありますが、農家経営の内容はどうかと申し上げますと、現実において、耕作するために農業機械を一応そろえると400万円程度の金を必要といたします。それが、最近の1町歩耕作の農家が一そろえの農機具を持っておられる者も数多くあるわけであります。2町歩でも3町歩でも、あるいは5町歩の農家でもほぼ同じ機械を所有しております。二、三年過ぎますと、改良された新しい農機具が出回れば、人のまねをして買う。小規模農家は、その投資のために日雇い、農外収入で補い、または年々耕地をカニの手をもぐようにして手放す。 いままでの経済の好況の状況であればたんぼも値段よく売れたけれども、また日雇い、出かせぎも職種を選んで働くことができたわけでありますが、最近の経済不況でどうなるかであります。それでも2反や3反の農家は委託に出してそれなりの年貢をもらって納得しているが、なかなか1町歩程度の農家は未練があって、よほどの方でないと心配で全面的に委託に出されない。かつての農地解放を思い出しているわけであります。 一例を挙げますと、農繁期には早朝たんぼに出かけ農作業をやり、8時になると会社に出勤する。夕方5時に退社して農作業に取り組むの毎日であります。ただし、最近の機械化農業は農繁期を短縮しておるので、明治、大正、昭和の初代の戦争経験のある人はできますが、戦後っ子及び孫の時代になるとなかなかむずかしい問題であります。元来人間生活は、最近特に仕事は仕事、遊びは遊びと割り切っております。向後週休2日制を云々され、家族ともどもレジャーを楽しみ、人間として生まれ来った喜びをひしひしと感じておる現状の社会は、いかに不況になろうとも、生活様式を戦前に返し戻すことができるでしょうか。 昭和49年度の本県の農家戸数は18万5,300戸で、専業農家戸数は総農家戸数の5.2%で、9,700戸であります。第1種兼業農家が前年より2.7%減り、7万5,700戸、第2種農家が逆に0.2%ふえて9万9,900戸であり、農家戸数に占める割合は第1種が40.9%、第2種が53.9%となっております。 また、農家所得は前年度に比べ31%増加し、1戸当たり343万7,000円と勤労世帯を上回ったのでありますが、兼業及び日雇い、出かせぎ等の農外所得の比重は大きく、農業所得として35%にとどまったのであります。国も県もあすの農業振興のために最大の努力をされ、農民に夢と希望を与えるべくいろいろの保護政策をとってこられた行為に感謝を申し上げるものでありますが、さりとて、今後の農業経営をいかにすべきかと考えるとき、幾多の疑問を感ぜざるを得ないのであります。常に未完成のうちに成功のための闘志が沸き、未熟であれば努力をするごとく、人間社会は一寸の停滞を許さないのであります。 農業基本法制定以来、総合農政のもとに営農団地の創設を試みられたわけでありますが、農業経営の方向として、県内において部分的作業の協業を合わせた組織化は1,100組織を数え、全面協業は12を数えると言われます。中には、みずからの耕地を出し合い一切を協業でやり、精算もそれなりの仕組みの定めでやる理想的な企業経営を行っておる地域組織もあると聞かされております。 農家も一つの企業であれば利潤の追求を求めなければなりません。高生産を上げ、農業所得の向上を図り、他産業との格差をなくし、農村の諸環境の整備充実を促進し、しかも農村の使命を認識させ、時代の文明、文化を取り入れた農村社会の建設をポイントとした新対策を立てるべきであろうと思うのであります。それはその地域に適合した形態であり、特に人の和を主題にした運営でなければならないのであります。 農地の資産的保有傾向は土地の流動化を硬直化させ、農業経営の近代化と生産の発展を大きく阻害しておる現状を打破するために、自立経営農家自立経営を希望する農家を中核として、小規模農家及び兼業農家を含む集団的な生産組織とし、その規模として、水稲であれば50ヘクタール以上、環境によっては露地野菜及び酪農、畜産を加えた企業体の形態がよいと思うのであります。 さて、以上申し述べましたけれども、余り論旨が抽象的であり、おわかりにくかったと思いますが、私としてはできるだけ農業の実態をお話しするつもりであったのであります。そして、諸般の情勢の中にあって、農業経営をさらに一歩突っ込んで考えるべきであると申し上げたつもりであります。特に農業企業化の問題は知事はどのようなお考えを持っておられるかをお尋ねいたします。 質問の第2点は、たんぼの土づくりであります。この点については、昨日私の僚友である小笠原議員の質問でもありましたけれども、再確認の意味においてやりますので、よろしくお取り計らいを願いたいと思います。 戦後の稲作増産の一端は、化学肥料の急速な普及に負うところが大きいと思います。一方、農業の機械化は稲わらの土地への還元を困難にし、勢い中秋にもなると耕地いっぱいにわらを燃やす煙が炎々とたなびいており、文明期の秋を知らせます。 昔は、生わらを全部はざにかけた関係上、農地には堆肥として還元し、一部は農作業の必需品として、または製品として社会構造の一翼を担ったのであります。したがって、簡単であり、効率のよい化学肥料が利用されるに及び、記録的な収量が得られるに至り、いまや堆肥の姿を見ることができないのであります。 しかし、長期間有機質の堆肥を耕地に入れなければ土壌構造の変化を来し、だんだんと地力はやせると言われております。もとより、農家は有機質堆肥の効用をよく知っておりますが、化学肥料でより効率的な生産を上げることができる現況である関係上、県当局の土づくりの奨励にもかかわらず、農外収入のために甘んじているものと思うのであります。これら土づくりに対して県はどのような対策を立てていられるか、また今後化学肥料だけで押し通しても実害はないのかをお聞かせ願いたいと思います。 次に、質問の第3点は、学校給食に米の利用はどうかということであります。 昭和43年11月3日の新潟日報の社説に次のような記事が載っておりました。「青森県純農村地帯のある小学校では、このほど同校PTAが米飯への切り替えを決議、強硬派の父兄80人が、パンを運んできた運搬車を取り囲み、学校に搬入させないなど実力行使する場面が見られた。」と載っております。 そもそも、戦後の学校給食は一貫して主食をパンとしてきたが、昭和42年ごろ米生産が軌道に乗り、昭和44年度に余剰米の処置に困惑しておった時代に、20万トン程度の消費であっても学校給食に米飯を取り入れるべきだとの声が高まり、文部省でも昭和45年に全国81校の米利用の実験校を設置いたし、47年度から米利用指定校に切りかえ、実験を続けてきたと言われるのであります。 昔から米よりパンの方が栄養が高いと言われてきたが、実際は、栄養学的に見ると米と小麦粉は同じカロリーであり、ビタミンは小麦粉が多いが、パンに加工するとそのビタミンは分解するし、米飯やパンだけで人体に必要とするビタミンをとることはできず、他の食品で補わなければならないのであります。たん白は小麦粉に量的には含まれているが、良質たん白むしろ米によけい含まれているものであり、米、小麦そのものだけでは甲乙つけがたいと言われております。ただ、米飯の方が価格が高いし、炊飯施設の設置をするための施設費等の問題があると言われております。 さて、米生産県としてみずから日本の食糧基地として自負をしておる新潟県が、栄養価が米と甲乙つけがたいとすれば、パン食を切りかえる意思があるかどうかを教育長にお尋ねをいたします。もとより、予算関係もありますので、予算関係及び文部省の考え方、または本県の学校における考え方等もあわせて質問をいたすものであります。 さらに第4点でありますが、農業後継者と嫁の問題であります。 戦国の武将武田信玄をたたえる言葉に、人は石垣、人は城と言われ、または事業は人なりとも言われております。そのようにして、最近の農業は大規模農業に移行し、将来の営農団地等の創設を考え、さらに農業文明の発展を見ようとされるこの農業の大改革期に当たり、有能な若き青年経営マンの必要を痛感させられるのであります。 しかし、世の中はままならぬもので、専業農家の息子であっても他産業へ転出をし、または会社、公務員を希望したり、みずからの農家に誇りを失いつつある有能な世代も数多くいることも見逃すわけにはいかないのであります。そのために、国も県を初め各地方公共団体も必死になってこれらの啓蒙をされ、努力をされていることは周知の事実であります。 しかし、戦後30年の過程はいかんともしがたく、教育レベルの向上、生活環境の変転、農政の目まぐるしい変化等々と積み重なった証左であろうと思うのであります。この世の中に農業ほど夢と希望を持てるものはないのであります。無から有を生じ、生産の段階には変化が伴い、研さん努力をすればするほど効果が明確に出る。まさに無限の希望があります。 だが、かつて農村を取り巻く諸般の環境は必ずしも恵まれておったとは申せません。小規模農家の衰微、近代化農業は大きな資本を必要とし、1、2種兼業農家の増、機械化による省力と、過去の農業は必ずしも人材を必要としなかったと言われる節もあります。したがって、今後の農業はより人材を必要とする農村環境を充実することであります。青年の目に夢と希望の輝きを与えるような農業の理想的な環境を創造することであります。 いまやその準備が着々となされつつあります。それは営農団地の創設であり、農業企業化農業株式化の推進であり、大型自立農家の組み立てであります。そして、農家が安心をして生活をエンジョイされる農業の確立をしてやることであろうと思うのであります。 そこにはおのずと夢と希望を持った花嫁も集まることでありましょう。農家の嫁不足でどこの農村も悩んでおられると聞くが、単なる探すだけのことでは、必ずしもその目的が達成されるとは限りません。嫁の好む環境づくりにその為政者たちと指導者たちが住みよい郷土をつくること、そしてみんなでつくろうとする意欲を持つことであろうと思います。その諸対策として現在どのような方策をお考えか、お尋ねをいたしたいと思います。 以上、4点の基本姿勢についてできるだけ明快に、簡潔に御答弁を知事にいただくことを期待いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)   〔知事君健男君登壇〕 ◎知事(君健男君) 横山議員にお答えいたします。 現在の農業の実態につきまして非常に詳しくお話がございましたが、そのうんちくに敬意を表する次第であります。 世界的に食糧事情の悪化と価格の不安定が懸念されております今日、本県農業の発展を図りまして、国民食糧の安定供給に寄与するには、農業経営の規模を拡大して、施設機械の投資効率を高めて、農業経営の安定を図ることが基本でありまして、御意見のように複合農業、委託農業等を推進して、ある程度企業化の傾向になるべきものと私も考えております。 わが国の食糧供給基地として、本県の農業経営は高能率の農業に発展させなければならないと考えておるのであります。このため、かねがね申し上げておりますように、良質、安定、多収の根本となります土づくり対策、農業生産の担い手の確保育成を図る人づくり対策とともに、限られた土地を有効に活用いたします農用地の高度利用対策、この3点を基礎といたしまして、経営規模が大きく、生産性の高い農業経営を確立いたしますことを目標として、土地基盤整備事業、農業構造改善事業、集団的生産組織育成対策等、各般の農業施策を積極的に推進しているところであります。今後におきましても、農業をめぐる厳しい諸情勢を踏まえまして、一層その拡充を考えたいと思っております。 次に、水田の土づくりの問題でありますが、御指摘のように近年化学肥料の連用によりまして地力の減退が心配されておりますので、農業の基本原則に立ちまして土づくり運動を展開することといたした次第であります。昨日も申しましたように、関係機関、関係団体が一体となりまして、土づくり運動を展開するための土づくり推進協議会を発足させまして啓蒙活動を行うとともに、土づくりモデル団地を設置いたしまして、土づくりの推進に努力をいたしておるところであります。 次に、農業後継者と嫁の問題でありますが、農村におきます後継者問題並びに嫁の問題は最近非常にむずかしい問題となりつつあります。基本的には、本県の農業を高能率で生産性の高い、いわゆる魅力ある農業にすることを目途といたしまして諸般の施策を進めることが、同時に後継者育成、嫁問題の解決にはつながるだろうと考えております。今後ともふるさとを大切にし、魅力ある農業の発展に努力をいたしたいと考えております。 学校給食問題につきましては教育長から答弁していただきます。 以上であります。   〔教育長厚地武君登壇〕 ◎教育長(厚地武君) 学校給食をパン給食から米飯給食に切りかえることにつきましては、お話の中にもございましたけれども、特に炊飯に関する施設設備の問題、それから給食費の単価の問題等につきまして、いろいろの面でこれから解決していかなければならない幾つかの問題がございますので、県独自の立場でいま直ちにこれを全面的に米飯に切りかえるということにつきましては、なかなかむずかしい問題があるのではないかというふうに考えております。 そこで、最近の国の動きについて申し上げますと、現在文部省では農林省と協議中でございますが、米飯給食の実施上におけるいろいろな条件の整備を前提としながら、近い将来米飯給食の採用を段階的にやっていくという方向で検討している模様でございます。ただ、この場合に問題になります諸条件の整備の内容でございますが、これは大きく申し上げて3つほどございます。 1つは、米を一般価格よりも安い価格で供給してもらいたいということ。これは、文部省の申し入れは一般価格の2分の1ということになっております。 それから2番目が、施設設備費に対する国庫補助の枠の大幅な増額ということでございまして、これは現在概算要求中でございますが、それでも大体各県平均で2校程度の要求になっております。 それからもう一つは、特に炊飯事務に従事いたします職員の人件費に対する補助制度の創設という問題でございまして、私どもといたしましては、これらの問題がどのように解決されていくか、その推移を見ながら今後の問題に対処してまいりたい、かように考えております。   ――――――――――――――――― ○議長(長谷川吉雄君) 次に、権平正雄君の発言を許します。   〔権平正雄君登壇〕(拍手) ◆権平正雄君 質問の第1番目であります六価クロムにかかわる県の行政指導についてであります。 御案内のごとく、東京の日本化工のクロム鉱滓の大量投棄事件とそれによる健康被害が大きくクローズアップされまして、改めて化学有害物質の恐ろしさを知らされておるわけであります。 県内におきましても、さきに、日揮化学新津工場の産業廃棄物から埋め立て処分基準値1.5ppmの10倍以上の16.5ppmという高濃度の六価クロムが立入調査により検出をされまして、地元新津はもとより、県内外でこれが大きな問題を投げかけておるわけでございます。私も、地元企業にかかわるものでありますから、この機会を通じてこれに対処される県の行政指導について二、三お伺いをいたし、さらに一、二の提言をあわせて行いたいと思います。 その前に、皆さんに理解を深めていただくために、日揮新津工場の生い立ちと現在までについて若干触れておきたいと思います。 同工場は、その前身は揮発会社として石油の精製工場であったのでありますが、昭和27年以降、各種触媒製造に転換をいたしまして、社名も現在の日揮化学新津事業所と改名をしたわけであります。以来34年ころまではニッケル系の触媒が主でありましたが、35年以降重クロム酸ソーダを原料とした銅クロム系の触媒に転換をいたしまして、現在は重クロム酸ソーダは年間約300トン、これを六価クロムに換算いたしますと100トンほど使っております。高度成長による石油化学の発達とともに年々生産も上がりまして、当然のことながら工場も次々と拡張されて、現在は資本金約1億5,000万、本社を東京に置きまして、従業員は186名であります。他は下請関連を含めまして大体200名前後であります。 商品は、開発的な性格を有しておりますから、化学製品として販売もしくは依頼された研究等もやっております。企業がそうでありますから、当然学卒者が多い。すなわち、大学卒とか専門学校の卒業者が大部分であるわけであります。したがって、これらの有能な学卒者は東京の本社から派遣をされておりまして、他はごく単純な作業者として地元の新津から雇用しておるのが現状であります。 私も四、五回工場に行ってみましたが、この企業はきわめて企業秘密的な性格が強く、また閉鎖的でもあります。もちろん、一般の入場及び工場の見学などは絶対にできません。ですから、一体この企業は何をつくっておるのかということに対しては付近の住民は全然わからないのであります。 そして、時たま、工場の周辺から不可思議なもやが立ち込んだり、煙突から赤や青、黄色の煙が出たり、また色彩の強い赤、青、黄色の工場の排水が能代川を染めたり、ために、付近住民はその不気味さを称してあれは化け物工場だと呼んでおります。これはまことに当を得た表現ではないかと思っております。 特に47年の7月、能代川にたくさんの魚が浮上した事件が起きたわけでございます。これが日揮化学の下流地帯にあらわれたものですから、これは当然工場の有害廃棄物の投棄ではないかと付近住民並びに市民は評したのでありますが、残念ながらそれが原因であるという工場との因果関係は立証ができ得なかったものであります。以来、一層付近住民、新津市民は企業に対する不信感、不安感というものが増長されてきました。 それがたまたま本年の8月、日本化工のクロム鉱滓の大量投棄事件が大問題となって、それが環境汚染と健康に大きな被害を及ぼすことが報ぜられ、全国的な社会問題として発展し、ちょうどそれと機を同じくして本年の8月の26日であります。またまた能代川に多くの魚が浮いたり、さらには死んだりしてこれまた大きな問題になったのであります。 これらの問題と関連しまして、警察並びに保健所、さらに県は27日、市の関係者を含めて工場への立入調査を行われました。私も調査団の一人として参加をしたわけでございます。この立入調査の結果大変に大きな問題が起こったのであります。それは、六価クロムの廃棄基準値というものは1.5ppm以下でなければならないのに、埋立地から検出されたものはその基準値を上回ることの10倍以上の16.5ppmという高濃度であったことであります。 私も立ち入りに参加した一員として、この問題に大きな疑問点を感じ、次の点を指摘いたしたいと思うのであります。 まず工場でありますが、工場は、県の産業廃棄物埋立処分にかかわる対策要綱によりまして、これは昨年の8月、法によって県が要綱として実施をしたのであります。これによりまして、本年の5月22日、4.5トンの廃棄物処理の届け出を行い、その際、財団法人であります新潟県の環境衛生研究所に検査を依頼し、その検査の結果は六価クロム基準値の5分の1以下、0.321ppmであるという書類を添付して県に届け出を行いまして、県もこの数値でありますから全然問題ないということであったのであります。ところが、立ち入りをしてみると、逆にその基準値の10倍以上の16.5ppmとなっておったのであります。 とすると、まず疑問に思われる点は、その1つ、工場が意識的にこの届け出の際と異なる六価クロムを埋め立てたのではないであろうかという疑問、それから2つ目でありますが、これは財団法人新潟県環境衛生研究所の検査に誤りがあったのではないだろうかという点、疑問の3つ、それとも立入調査の後に検査をした県の衛生研究所の検査に誤りがあったのではないだろうかということであります。これに対して工場側は、埋め立ての際もっとよく薄めて埋めればよかったなどと、まことに理由にならない理由を付して弁解をしておるのであります。 生活環境部長、この点について調査をし、それに対処をされたのかどうか。もしこれらの問題をあいまいにしておきますと、今後さらに一層有害廃棄物等が出てきますから、大きな問題として後に残り、この処理のいかんによっては大変な問題に発展をするおそれがありますので、調査と対処の方法をお伺いいたしておきたいと思います。 お伺いの第2番目でありますが、いただいた資料によりますと、廃棄物処理法というのはすでに昭和45年に制定され、46年に施行されております。そのおくれた理由はそれなりに言い分があると思いますが、それにしても、法ができてから要綱としての実施までに4年もかかったということは、県のこれに取り組む腰の重さを何といっても私は指摘しなければなりません。 日揮工場は49年度分として要綱に基づいて4.5トンの届け出をして埋め立てたものでありますが、それ以前のものは全部能代川べりに投棄をしておったのであります。これは有害だと承知しながら、法律がないからという企業の態度にももちろん問題があるわけでありますが、この自由投棄をしたその部分の立入調査を本年の9月23日に行ったところ、実に35ppmの高濃度が検出されたそうであります。恐らくこれらの有害廃棄物の一部は能代川に流れて、そしてそれが汚染したのではないかと思います。もし少なくとも一年でも早くこの要綱ができておったとしたら、その部分が救われるのではないでしょうか。 しかし、私は行政の不十分だけを指摘するものではありません。本年の8月の初め、立入検査後の処置として、てきぱきと工場に対して行政指導をされた点に対しては深く敬意を表するものであります。 ただ一つ私はどうかと思われる点は、この有害物質の遮断処置の指導がいわゆる地下汚染防止にその主点を置いておるようでございますが、上部から流れ出るおそれがないのでしょうか。と申しますのは、御承知のようにこの日揮化学新津工場というのは能代川の無堤防地内にあります。きわめて水位が高いですね。常時湛水地帯であるからであります。もし水が出て、そしてさらに工場内に浸水して、そこから、上部からあふれ出、能代川に湧出汚染する危険はないのであろうかという立地的な立場から、この廃棄物は工場外の高台等に移設するよう指導されてはどうかと思うわけであります。 何しろこの能代川というのは、皆さんも御承知のようにこれが流れて信濃川に注ぎ、そしてその信濃川から新潟市民はそれをとって飲み水として使っておるからであります。 また、工場の排水口直下の底質から5,400ppmという高濃度の総クロムが検出されたそうであります。これは総クロムでありますから、この5,400ppm驚くに足らずということにも一面的になりますが、また、総クロムしゅんせつに対する基準が現在ないそうでありますが、ないとしても、少なくとも終戦後十数年にわたって化け物工場が能代川を汚染しておったのでありますから、この際、いわゆるしゅんせつなどの浄化対策について具体的なお考えがあるのかどうか。もしあるとすれば、それはいつごろ行う計画なのか。もちろん相当の出資を要すると思いますが、企業もそのことについては積極的な協力を惜しまないということを漏れ承っておりますから、この点を御明示願いたいと思います。 さらに、今後ますます化学有害物質を含む産業廃棄物というものが多くなりまして、汚染による健康被害というものが一層深刻化することは必定であります。たとえ現在の届け出制を許認可制として底上げをしたとしても、これは私は抜本的な解決策にはならないと思います。 そこで、私は大胆に提起をしたいのでありますが、この際、これが恒久対策として、県が適地を確保しまして、そして産業廃棄物管理センター等をつくって、そこにこれら一連の有害産業廃棄物を投棄する企業から金をとって、そして維持管理を県が行う、これしか私はないような気がしますが、いかがなものでしょうか。この点について、知事または生活環境部長いずれでも結構でございます。今日ただいまとは申しませんが、恒久対策の一つとして御見解をいただきたいと思うわけでございます。 次に、商労部長にお伺いをいたします。 このたびの日揮工場の一連の問題は、それが工場外の生物、植物等の被害に対する顕在性がいまだ確認されておりません。それは今後二次汚染を含めて、公害問題として解明がされるでしょう。 むしろ、いま急を要する点は、同工場の職場環境と労働災害の点であります。新津基準監督署の調査によれば、同工場は六価クロム特有の鼻中隔せん孔患者が2名、さらに疑わしき鼻炎を含めて約10名おるそうであります。 また、すでに部長あなたも御承知のように、日揮化学の元従業員が、昨年の2月肺がんとなって死亡をしております。この方は、仮にSさんと申しますが、このSさんは同工場のクロム系触媒の作業員として10年近くもじんばい作業をしてきたのであります。これが昭和47年の定期健康診断の際別病によって発見され、休職となって、さらにその後肺がんと診断され、昭和49年、すなわち昨年の2月の7日、38歳の働き盛りを肺がんでとうとい生命を閉じられたのであります。 仄聞でありますが、遺族はこのSさんの死は当然職場の環境悪によるせいであるということで、早速労災の認定申請をしようとしたのでありますが、その後取り下げられたそうであります。これは会社のもみ消しがあったのではないかと推測をしておる人も一部ございますが、真偽のほどは定かでございません。 しかし、遺族も今度のクロム問題を機にして、新津労基署に労災病としての認定申請をしたそうであります。目下関係機関で検討中とのことであります。商労部長、あなたにはもちろんこれが認定権はないわけであります。がしかし、あなたも御承知のごとく、一般的に、企業側はこの種の申請に対してきわめて消極的である、そういう特徴を持っております。むしろ、逆にこれら労災問題に対しては労働者に圧力をかけたり、もみ消したりしておる幾つかの事例もあるわけであります。 この際、県も労災一般に積極的な姿勢で対処するという決意のもとで、この現在申請中のものに対して、疑わしきは認めよとの姿勢で認定作業の促進を関係機関に図っていただきたい、そういう意思がおありであるかどうか。もし現在そうでないとすれば、ぜひともそれを図っていただきたいということをお願い申し上げます。 次に、都市交通の2次規制とそれに対する抜本策でありますが、この問題は、きのうの一般質問で阿部議員の方から質問があって、総括的な答弁として知事からいただいております。したがいまして、私の質問がそれらと若干重複の点があると思いますが、しかし、何と言いましても、今日的に緊急かつ重要でありますから、あえて質問をいたします。 交通事故対策にかかわる問題は、それこそ毎議会また委員会等において論議をされます。結局は、答えて知事は、県民の交通モラルの向上を図りながら真剣にこれに取り組む、また本部長は、保安施設の充実を図りながら指導、取り締まりを強めますという答弁を繰り返すのが通例であります。 私も、いままで死亡や事故が起き、さらにそれが多発の傾向になりますと、その追及を警察に集中をしてきた一人であります。また、当面の即効性を求める場合、結局は指導と取り締まり、規制と保安施設の一部を担当しておる警察交通に物を申すこともこれまたいたし方がないのであります。 また、対応しての警察は、それにこたえて効果を上げようとすれば、結局は指導、取り締まり、規制の強化と保安諸機器の設置の充実以外にないのであります。またその権限しかございません。たとえば、この道路をもう少し拡幅したらどうか、この十字路は立体交差をしてはどうだろうか、こんなところに無計画な都市計画をしたら、後でこの辺が大変に渋滞するのになあと思ったとしても、これはどうにもならないのが現実なのであります。 調査によりますと、県内の自動車の数は現在62万台とか二、三日前のテレビで報じておりますが、5年前の45年にはまだ38万台であることを思いますと、その異常な急増ぶりに驚き入るわけでございます。まさに驚異であります。しかし、この傾向、まだまだ同カーブを描くのではないかというふうにも言われております。 県民240万、これは4人に1台の割りであります。運転に無理と思われる60歳以上のお年寄り、また運転資格のない18歳未満の者を除けば、あとは全部がそれなりに車に乗っておることになります。ある皮肉家として有名な評論家が、歩くという字に車へんをつけよ、当用漢字を変えるべきだと言っておりますが、これは決して皮肉には受け取れないのが現状ではないでしょうか。人間から、生活から、社会から車を引き離すことはもうできないのであります。 ところで、県警は昨年バス優先レーンを実施し、さらに本年の9月1日から今度は市内40キロにスピードを下げるということを実施されました。私は、このことの是非論は一応おきまして、9月からの実施によって関係住民並びにマイカー、車営業者等々から多くの苦情や不満や提言が出ております。その具体例は委員会等で申し上げることとし、まず本部長にお伺いをいたしたいのであります。 この新潟市全域にわたる40キロスピード制限の実施に当たっては一体どのくらいの準備期間を持たれておったのか。また、実施に至るまでの間に関係者との話し合いが何回くらい、しかもその範囲はどの程度にして行われたのか、お伺いをいたしたいと思います。これが実施に当たって、少なくとも事前に県議会の委員会等において説明と理解を深める配慮がなされてしかるべきと私は思いましたが、その点についていかがなものでしょうか、お伺いをいたします。 ともあれ、激化しつつある車社会での当面策の強化はもちろん軽視はできませんが、しょせん、即効はあっても恒久的期待は無理と言わなければなりません。なぜなら、車はますます急増し、道路その他の対応施設がそれについていけないからであります。 本部長、あなたは本庁にあって長い間交通関係の仕事をされ、その面での権威と仄聞をいたしております。いま特に都市に集中しております車洪水の中にあって、それに対応する具体策は、警察交通に任せておけばそれで事が足りるという一般論に対してあなたはどうこれを感じ取られておるのか、御見解がございましたらお伺いをいたしたいと思います。 私は、いまこそ各関係機関がなわ張りから脱却をして、行政も住民も警察も一体となって5年後の新潟、10年後の都市交通体系のあり方について、いまこそみんなで英知を結集して抜本策に取り組むときではないかと思います。それは、現在あります五人委員会や年1回お義理に開くような審議会の補強ではなくて、真に実効の上がる各層からの代表より成る会をつくって、そしてそれに知事が交通体系の抜本策として諮問をされる、そういう発想ができないものであろうか、この点につきまして総括的に知事にお伺いを申し上げる次第でございます。 最後でございますが、高校誘致の激化と県の対応、指導についてであります。 きのうも話がありましたように、最近高校の新設、増設、学級増について連日のごとく陳情、請願が行われております。知事さんもまた教育長も、その点は経験をされて、私がいまここに申し上げることもないと思いますが、私の地元の新津も、先日知事さん並びに教育長さんに陳情したし、私もその先頭に立ってまいりました。 高校進学期の子供を持つ父兄の心情、これまた当然であります。そのことは近年における経済、社会、文化の進展は高校教育の量的拡大を促進し、義務教育終了者の9割が進学することは、高校がいまや日本国民共通の教育を培う国民教育機関となっておるからであります。しかし、それらを受け入れる施設設備、公私立を含めて現況はどうなっておるかということであります。 過般上越視察を行いました。ある私立高校の当局者から、公立高校の学級減を図って、その分を私立に回してもらいたいというまじめな口頭陳情を受けたわけであります。そうでないと、上越の場合は近年にして私立に入る生徒がゼロになると言っておるのであります。ちょっと極端のようでありますが、どうも実情のようでございます。逆に県都周辺の町々は軒並みに新設をしてくれ、増設をしてくれとこれまた懸命であります。 私はいま一番気がかりな点は、誘致、増設等の署名運動はこれまた住民として当然でありますが、その熱心の余り、優先権確保とばかりに用地の先行取得等にエスカレートをするのではないかということであります。いな、すでにもうその方向に走りつつあるのであります。 その具体例を1つだけ申し上げますと、今議会にも請願のトップに出ておりますAという町であります。県北に位置し、人口はわずか1万1,000、年間予算20億前後でありながら、これが高校誘致のために8月の12日に臨時議会を開き、2億5,000万を計上して用地面積8町歩、2万4,000坪を買収、これを整地して、県に無償で提供するからどうか学校をつくってくださいという構想であります。しかも、これは多数賛成において当議会で議決をしたそうであります。県当局も言っておるように、高校の用地面積は新設の場合大体4町歩もあれば十分であると言われておりますが、その2倍というこの異常さをどのようにお思いでございましょうか。 それが他へも波及傾向にあることが現状であり、このまま放置をすれば、結果は自治体ごとの争いになって、さらにそれに政治が絡み、大変なことになりかねないのではないかということを私は憂えるのであります。この現状をどう認識をされるか。それともこの過熱ぶりをしばらく静観をしろというのであるかどうか。それともこの辺で抜本的に、そのような過熱的な誘致合戦でなくて、人口問題を含め、高校の進学率を含め、県の一切の高校はどうあるべきか、そういう抜本策というものを県はお持ちなのかどうか。もしそれをお持ちであるとすれば、いつごろそれを県民に明らかにするのか等々を含めてお答えを願いたいと思います。 時間の超過をおわびいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)   〔知事君健男君登壇〕 ◎知事(君健男君) お答えいたします。 産業廃棄物の問題でありますが、条例制定がおくれておるというような御指摘でありましたが、これは法律が御承知のように46年に施行になりまして、48年に総理府令が出たのであります。その後直ちに関係方面との打ち合わせを重ねまして、49年に全国に先がけて条例を制定したものでありまして、特に本県が対策がおくれたとは考えておらないのであります。 産業廃棄物の埋立処分計画の内容につきましては、その都度慎重に精査検討しておるところでありまして、特に有害物使用事業所からの届け出に当たりましては、企業の特殊性等を勘案しながら、埋立地等について詳細な調査を行って指導いたしておるものであります。御指摘のたくさんありました日揮化学に対する詳細な御質問については、生活環境部長、商労部長に説明をしていただきます。 次に、都市交通に対する問題でありますが、御指摘のとおり、現在の都市交通はまことに憂うべき状態になっております。本来は、都市の構造を変えることによって解決さるべきものであろうかとも考えますが、単に警察の規制にのみ依存するつもりはございませんが、しかし、現状においてはどうしても警察の規制に依存する面がきわめて大きいのであります。総合規制といいましても、あくまでも対症療法でありまして、根本的な解決策ではないのであります。 いずれにしても、都市道路交通問題は都市計画の基本でありまして、再開発にせよ新たな都市づくりにせよ、この問題を抜きにしては都市計画を考えることができないのであります。御提案の審議会等の設置の問題を含めまして、十分今後検討させていただきたいと思います。 詳細は本部長からお願いいたします。 次に、自治体の高校誘致問題でありますが、最近特に自治体が高校の独立、新設等について非常な熱意といいましょうか、陳情が激しくなっていることは御指摘のとおりであります。実際におきましては、総合的な判断に基づきまして実施を逐次やる考えであります。 また、お話のありました私学の問題についてもきわめて重大な問題でありまして、各方面の、あるいは国の力もかりて助成を強化してまいりたいと思います。 詳細については教育長から答弁をしていただきます。 以上で答弁を終わります。   〔生活環境部長中島泰明君登壇〕 ◎生活環境部長(中島泰明君) 日揮化学の新津事業所関係につきまして細かい御質問がございましたので、補足を申し上げます。 まず、埋め立て処分をしました鉱滓から基準を上回ります16.5ppmの六価クロムが検出された。これにつきまして検査にいろいろ問題があるのではないかという御質問でございますけれども、この問題は、まず企業側が廃棄物の処理に対しましてきちんとした姿勢を持っていたかどうかという問題が1つございます。 それからまたもう一つは、試験分析に供しました検体の採取方法に問題があったのではないかということから、県の公害研究所がクロスチェックをいたしまして、その結果16.5という数値が出たわけであります。したがいまして、この両方の数値につきましては、それぞれの検体につきましての数値でございますので、誤りがあったとは思っておりません。 それから第2の問題でございますけれども、能代川に流出をするのではないかということでございますが、この問題につきましては、9月22日廃棄物処理法第12条に基づきますところの適正措置の知事命令を出しまして、まず講じました手段は7.5トンの鉱滓のほか、埋め立てをいたしました跡地にありますところの約200トンの土砂を含めまして、総量を硫酸第一鉄で酸化に還元処理の上、コンクリート層で遮断、埋め立てをするように命令をしております。 それから2番目には、二次汚染の懸念が考えられますので、地下水の観測井を7カ所掘るようにという命令を出しまして、いずれもその措置は10月の25日を期限として指示をいたしております。そういうことで、他への影響はなくなるのではないかということと考えております。 それから、能代川のいわゆる工場の排出口直下から5,400ppmの総クロムが検出されたわけでありますけれども、これは御承知のように自然界では約200というのが基準でございますので、かなりの高濃度ではございます。しかし、これにつきましては、上流、下流を含めまして5カ所の調査を行いましたところが、この排出口1カ所だけが5,400ということでございまして、200メートル間隔でやっておりますが、その他の場所では3ないし23ppmというように急激に総クロムの濃度が落ちております。したがいまして、県といたしましてはこの総クロムの非常に高い地点につきましてどのくらいの量があるか、あるいは範囲がどこまで及んでおるかということを詳細に検討の上、これが処分については処置を考えてまいりたい、かように思っております。 それから、今後の対応の問題でございますけれども、企業の試験成績を信頼いたしまして、鉱滓の行政検査など処分基準の適合性の立入監視がおくれた面があったというようなことにつきましては十分認識をしてまいりたいと思っております。 なお、ただいま知事の答弁のとおり、企業の特殊性に十分対応できる体制をとりまして、特に有害物質使用工場から排出をされます汚泥、鉱滓あるいはダスト類にありましては、埋め立て処分計画の届け出に伴いまして速やかに行政検査を実施いたしまして、これらの結果及び埋め立て処分地の地形、あるいは地質等の環境条件を加えながら事前指導を強化してまいりたい、かように考えております。   〔商工労働部長加藤孝君登壇〕 ◎商工労働部長(加藤孝君) お尋ねのSさんの肺がん死に伴います労災認定の件でございますが、9月4日に新津の労働基準監督署に請求書が提出をされたわけでございまして、新潟の労働基準局におきまして、すでに資料の収集あるいは関係者からの事情聴取を行っておるところでございまして、いま検討が進められておる、こういう段階でございます。 県といたしましても、労働者の福祉を擁護する、こういう立場からこの労災認定の業務が敏速かつ適正に行われますよう、その促進方につきましての要請をしてまいりたいと考えております。   〔警察本部長寺尾繁君登壇〕 ◎警察本部長(寺尾繁君) 権平議員の御質問にお答えいたします。 順序として最後の御質問からお答えする方が全般にわたると思いますので、お答え申し上げたいと思います。 私ども、知事が先ほど申しましたとおり、総合交通規制ではなしに、すべての道路上の障害その他を防止するためには、やはり都市交通の問題を全体として、全般的な都市交通体系を確立するということが大切だと思っております。そのためには、知事の先ほどのお話にもありましたように、都市計画あるいは住宅政策その他バスターミナル、物流拠点の建設といったような総合的な問題になるわけでございますが、私どもとしてここで申し上げたいのは、とりあえず五人委員会などが設けられておりますので、警察としては道路上のいろいろな障害について実際に承知しておる唯一の官庁でございますので、私どもの立場から、もっともっとそういう大きな問題についても現状を御説明し、資料を提供し、発言すべきはすべきではないかということを今後ともやってまいりたいということでございます。 そこで第2の、これも先ほど知事が申しましたように、総合交通規制は対症療法でございます。総合といいますのは、村落地区でなしに、道路上の事故あるいは騒音などの公害、あるいは道路上の混雑等の渋滞といったような問題が都市において集中的に集約して発生する。したがって、私どもはそれぞれの原因の状態を勘案をいたしまして、それらを図面に落としながら、いろいろの交通規制の手段を駆使いたしまして、とりあえず緊急の度合いに応じ、並びにたとえばピークロードと申しますか、通勤時の混雑時におけるバスの優先等を加味いたしまして、おおむね3年計画で当面の対症的な解消を図ってまいりたいということでございます。 したがって、対症的な問題でございますので、私どもとしては地域の警察署長の要請も入れまして、われわれの一応の素案を練りました段階で、さらに地域の住民の方々、あるいは団体の代表の方々等を警察署の段階でいろいろ御意見を承りまして、その段階で強行するのではなく、さらに十分御説明を加えながら実施をしておるということでございます。したがって、この段階では県本部を主体にした委員会といったようなものは考えてございません。 ところで、議会に対する説明がおくれました問題につきましては、たまたま素案ができ上がりましたのは7月末でございまして、議会が閉会中でございましたので、8月4日に建設公安常任委員の方々並びに新潟市在住の議員の方々に対して書面を送付し、また9月にお集まり願ったときには各党に書面で御報告をしたということでございます。 なお、40キロ規制のような問題について、もっともっと同意を得るべきではないかというお話でございますけれども、これは標識標示その他を節約する意味が大部分でございます。たとえば、山の中でも標識がなければ60キロでございますけれども、山の曲がりくねった道はおよそ35キロか40キロも出せないような状態でございます。しかも標識は立ってございません。ところが、市内のあらゆる道について40キロといいますのは、1つには、日本のような歩車道の分離が余り確実でなく、また日本はトラック、バス、乗用車その他の混合交通が非常に激しゅうございますので、原則として都市内は40キロ、これは全国的にそうでございますが、そういう方針に従いまして実施したわけでございます。したがって、先ほど申しましたように、そのこと自体は標識の節約といったようなこともございますし、また、さらに30キロにするところ、あるいは50キロに緩めるところはそれぞれの場合に応じて規制を行うということでございますので、御了承願いたいと思います。   〔教育長厚地武君登壇〕 ◎教育長(厚地武君) 高校の新設、独立、あるいは学級増といった問題につきまして大変いろいろと御意見をいただいておりますけれども、この点につきましては、私どもといたしましてはいろいろな角度なり基準からこれを決定しているわけでございまして、1つには、その地域の中学卒業生の増減の状況、それから既設校との関係、それからその地域への生徒の流出、流入状況、それから設置学科の地域的なバランスの問題、あるいは私学との関係といったような諸般の事情を総合的に判断しながら決定しておるところでございます。特に今年度は第3次の総合教育計画の策定年度に当たっておりますので、設置計画の基本的な考え方につきましては今後この中で決定をして示すようにいたしたい、かように考えております。 ただ、今後の県の財政状況の見通し等、いろいろなむずかしい問題との関連もございますので、将来にわたる個々具体的な計画を示すということにつきましては非常に困難なことではないかというふうに考えておりますが、御指摘の点もございますので、今後各市町村の動向も十分私ども検討いたしまして、できるだけ混乱の生じないように配慮してまいりたい、かように考えております。   〔権平正雄君登壇〕 ◆権平正雄君 幾つかの疑問とたくさんの不満が残りますが、これは委員会等で詰めることといたします。 ここで一、二聞いておきたいと思うのは、生活環境部長ですが、今回の届け出の際、企業が埋め立てしようとする鉱滓を財団法人である研究所に持っていった、その数値が基準値の5分の1以下である、したがって、県としてはこれは全然問題がないのだということで、それこそ何ら疑うことなく許可というか認めておりますね。ただ、埋める際余り川べりではどうかというような指導も若干されましたが、そのことについては問題なかったのです。 ところが、問題の起きた発端というのは、クロムというものがいろいろと問題になって、立入検査をして、そして本来0.3ppm以下でなければならない鉱滓を掘ったところが、それが10倍の高濃度であったということなんです。したがって、その関係については届け出の際のいわゆる混入の方法やら、それから採取したものの受ける部分的なもの等ということで話をされましたが、これはやはり大変なことになるのじゃないでしょうか。そうは常時立ち入りができないでしょう。 とすれば、これから要綱に基づいて出されるのは、いわゆる一定の基準値以下のものを検査をして、添付をして書類でパスさえすれば、結果は、もっともっと高濃度のものを大量に埋めたとしても、立ち入りをしない限りにおいてはその違法性というものの確認は不可能だろうと私は思います。 とすれば、これから恐らく要綱に基づいてそれらの有害物質というものが届け出されますが、全部をその都度確認、その都度立ち会いということはできないとすれば、補完的な意味において、その捨てる鉱滓というものはせめて県の研究機関というところに持ってこさせる、そしてそこで検査されたものと同質のものを埋め立てをするという確認、前提がなければならないと私は思います。 もし、最初であるから、企業がこのものを全部まぜて薄めて持っておったけれども、捨てるときはまぜないで部分的に埋めてしまったわいということであるとして、それがまあまあということになれば、悪の温床の助長が進むのではないかというふうに思うのです。私は、現在のこの要綱というものは決して完璧なものとは思っておりませんが、それなりに第2の悪、第3の悪だというものを防ぐためにも、今後はそういう悪の根源を断って、各悪企業に対する反省を求めるということがもっとなされていなければ問題の解決にならないと思いますが、その1点だけお伺いをしておきたいと思います。   〔生活環境部長中島泰明君登壇〕 ◎生活環境部長(中島泰明君) 確かに、今回の問題につきまして、企業の試験データというものを信頼いたしまして、立入監視がおくれたという面につきましては十分認識をしてまいりたいと思っております。 なおまた、要綱によりますと、埋め立て処分の30日前に届け出を出すということでございますので、一月余りの期間がございます。その間に行政としてでき得ることは、先ほどお話がございましたように、クロスチェックするとかいうような方法もあろうかと思いますので、そういった面については十分対応してまいりたいと考えております。   ――――――――――――――――― ○議長(長谷川吉雄君) 暫時休憩いたします。  午前11時43分 休憩  午後1時14分 開議 ○副議長(祢津文雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。引き続き県政に対する一般質問を行います。 まず、竹内十次郎君の発言を許します。   〔竹内十次郎君登壇〕(拍手) ◆竹内十次郎君 私は、知事に対して二、三の問題点について率直に御質問をし、知事の所信をただしたいと思うのであります。そのまず第1は、本県の農業政策についてであります。 知事、あなたは本年度当初予算の審議に先立って、施政方針演説ともいうべき提案理由の説明の中で、農政について次の点を特に強調されているのであります。すなわち、重点施策の第4番目に積極農政の展開を図ると言っておられるのでありますが、特に世界的に食糧事情の悪化が指摘をされております今日、本県の基幹的産業である農業はわが国の食糧供給基地として位置づけをされておるのであります。そしてそのために、近年その低下が懸念されております地力維持培養と、農業生産の中核的担い手の育成を主眼として、この際土づくり運動、人づくり運動を推進することの2本の柱として、本県農業の中心であります稲作につきまして、新潟米生産中核集団、高能率集団的生産組織の育成、稲作団地の形成などを総合的に進めることを明らかにされたのであります。 私は、このことは本県農業特に日本一の農業県であり米産県である稲作農業、米づくり農業を将来へ発展させようとする着目点については敬意を表し、同感に存ずるのであります。しかしながら、知事は現下の農業及び農村をめぐる厳しい情勢の中で十分考慮の上、積極農政の展開を図ると言っておられますが、具体的に今後どのような施策をやろうとされるのか。また、今後食糧供給基地として本県農業の発展策、すなわち新潟県の農業の将来のビジョンを県民の前に明らかにすべきだと思うのでありますが、知事の具体的な御所見を賜りたいと思うのであります。 次に私は、昨日からも他の議員からお話のありました人づくり対策について、お尋ねをいたしたいと思うのであります。私は、去る6月議会の連合委員会においてもこの問題を取り上げて指摘をいたしたのであります。人づくり対策は一朝一夕に解決できるものではなく、容易からぬ問題でございますことは、私も十分承知をしているところであります。 そこで、試みにたとえば本県の県立農業高等学校の農業課程を卒業した生徒で農業に就職する生徒の数は、最近年々減っていく傾向にあるのであります。県の統計調査では昭和48年度の卒業生のうち農業就職者は、全体の数が3,077人に対して754人でございます。そして、割合にいたしまして26.8%であり、昭和49年度は全体生徒の2,919人に対して23.65%であります。さらに本年度、すなわち昭和50年度は全体の2,733人に対して499人で、わずかの21.41%になり、農業課程の生徒も就農者のいずれも大きく減っておるのであります。また、本県がかつて農業後継者対策の一環として力を入れて設立をしました県立興農館高等学校の卒業生すら、年々他産業に就職する数がふえているのであります。同じく昭和48年度の卒業生112人のうち農業就職者は100人で、91.8%であります。昭和49年度は132人のうち121人で、92.52%でありました。さらに、本年度すなわち50年度は111人のうち100人で、91.8%になっておるのであります。 知事、最近の数字が明らかに示すように、今日の農業に対して、将来を担う青少年が魅力を持っていないかということが明らかでございます。このよって来る原因は何であるかと言えばいろいろありましょうが、大きなものは国の誤った農業政策、すなわち農業軽視、農民無視の農業政策、すなわち減反、減産政策、低米価政策、買い入れ制限、自主流通米制度等々、日ごとにネコの目のごとく変わる農政が農民に生産意欲の減退をもたらし、農業特に米づくり農家にいや気を与えたことが、農村の青少年に魅力を失わしめた最大の原因であると思うのでありますが、知事はこの点をどのように受けとめ方をされ、農村の青少年や婦人に魅力のある、先んじて農業後継者になるような、また農家の嫁飢饉などが解消できるような施策を考えておられるのか、この対策について御所見を賜りたいと思うのであります。 さらに私は、土づくり対策についてお伺いをいたしたいと思うのであります。 当初予算では県単で40万円、補助金1,770万円、補助金は農政事務所単位に1カ所295万円で、機械の補助だそうでありますが、そうしていろいろな施策を行って土づくり運動を推進され、それなりの成果を上げようとする意欲と着眼点はそれなりに評価をしなければならないでありましょう。しかしながら、依然として大型機械化の進んでおる今日、稲わらを還元しないで、一番手っ取り早い簡便な方法として、火をつけて燃しているのが実態であります。このまま放置すれば地力がやせ衰えて、将来、食糧基地としての本県として取り返しのつかない結果になりやしないかという点を考えますとき、何とか稲わらを燃すことをやめさせて土地に還元し、地力の培養を図るべく抜本的な対策を真剣に検討すべき時期だと思うのであります。私は、そのことが稲わら公害をなくし、地力の増進、培養を図り、ひいては将来の食糧供給基地として安心して増産が約束されるとすれば、まさに一石二鳥の施策だと思うのであります。そして食糧供給基地としての、安心して日本一の米産県としての新潟県、そしてうまくて多収量できる米産地としての絶対的要件が整うものと確信をするものであります。 知事、私は率直に提案しますが、増産の基本も、品種のよい米づくりの基本も土づくりからでありますから、まず稲わらを焼却した者に対して罰則の制度、すなわち県条例を秋田県のように設ける必要があると思うが、この点、前向きに検討されてしかるべきだと思うが、知事の御所見を賜りたいと思うのであります。 また、この道奨励のために堆肥の品評会や展示会等々を開催するとともに、最も農民の協力を得るために補助、助成制度を思い切って確立をすべきだと思うし、制度を設ける必要があると思うが、あわせて御所見を賜りたいと思うのであります。 また、積極農政の展開を図るとすれば、国に対していままで以上に強く要求運動を起こさなければならない幾多の問題がございますが、当面の要求として農産物価格の安定と保障制度の確立、食糧管理制度の堅持特に米価の二重価格制度の堅持を柱とした農業の保護政策の実現を図るために、全国知事会や関係機関を通じてその先頭に立って働きかけをして、要求運動を積極的に行うべきだと思うのでありますが、知事の決意のほどをお聞かせ願いたいと思うのであります。 次に私は、米の検査制度の改善要求についてお尋ねをいたします。 近年、特に本県の平場の農業は大型機械化の進展に伴いまして、稲刈り、脱穀調製が早まり、収穫期間が短縮されまして、今日では1カ月足らずで収穫期が終わってしまうことは知事も御承知のとおりでございます。しかるに、農家の生産した米の検査制度だけは旧態依然としているのであります。すなわち、昔のままの検査体制より一歩も改善されておらず、かえって検査員を年々減らしているのが実態でございます。そこで、現在収穫期が終わった今日、庭先というか作業所から家中米俵の山になって、大変迷惑を農家がこうむっておるのであります。盗難の心配や火災の心配等々、あるいは不幸があって葬式を出すにも、米俵の始末ができなくてどうしようもないといった弊害が起きているのであります。知事、この実情を真剣にくみ取って、現在の検査体制の抜本的な改善策を国や関係機関に強く要求を迫り、解決をされるべきだと思うが、知事の御所見を賜りたいと思うのであります。 第2に私は、柏崎の原子力発電所の問題点についてお伺いします。 柏崎原発は御存じのように、多数の市民や県民の反対にもかかわらず、君知事は昨年6月19日、電調審に対して異議ない旨の答申を行い、これを受けて7月4日、参議院選挙のどさくさの中で、多数の警官隊に守られながら電調審が開かれ、短時間のうちに柏崎原発の立地が決定されたのであります。その後、この電調審にかけられた1号炉の地盤に関する資料のごまかし、書きかえが指摘をされ、またその地盤もマイナス20メートルとしながらも、その後マイナス40メートルに変更される等、間違った資料による決定は無効であり、したがって、白紙撤回すべきであるという論議が衆参の科学技術特別委員会において問題になったことは、知事も十分御承知のとおりでございます。 しかしながら、住民による地盤問題が大きく提起をされ、ついにいままで例のない生資料の公開となり、また公開された生資料が問題を起こす等々大きな混乱を起こしながら、しかも原子力船むつ問題を初め、アメリカにおける沸騰水型の原子炉23基に今年1月29日、運転停止命令が出るなど、またわが国においてもこれに関連をして、同型6基について運転を停止し、総点検を実施する等、原子力発電の安全性に対する大きな不安はまさに全世界的な問題となり、また安全性のみならず、原子力そのものが人類と共存できるかという大きな疑問が高まっているにもかかわらず、去る3月、原子炉安全専門審査会に柏崎部会が発足をし、柏崎原発の安全審査が動き出したわけであります。 わが社会党は現地反対住民とともに、安全性も確保されずに、続発する事故に対する根本的な対応策もない中に、さらに強硬に新規に原発建設を推進しようとする安全審査の無謀さを指摘し、政府並びに電力会社に対して厳重に抗議するとともに、まず推進よりも安全確保のための研究並びに体制の確立こそ先決であることを主張してまいりましたが、何らの反省のないことは、わが国の原子力の将来のためにも、まことに遺憾にたえないところであります。 そこで私は、まず安全審査についてお伺いをいたします。去る6月議会の連合委員会においてわが党の田辺議員が、安全審査の提出資料と地盤の生の資料との間にごまかしがあることを指摘をいたしました。すなわち、1号炉建設予定地付近に断層があるかないかが、建設を左右する大きな問題となっています。地域住民は真殿坂断層だと主張し、東京電力は断層ではなく背斜だと主張していますが、断層か背斜かを決定づけるボーリングが生資料には西山NI層に届いていないのに、安全審査の資料には明らかに届いているように書かれていることは、安全審査をごまかすものであり、絶対に許せないということを指摘をしてまいりました。県はこのことを安全専門審査会に厳重に真相を究明するよう申し入れをしたかどうか。申し入れをしたとしたら、どのような返事があったのか。しないとしたなら、なぜしなかったのかをお伺いしたいのであります。 次に、柏崎原発の安全審査のやり方についてお伺いいたします。私が申すまでもなく、安全審査は全く中立で公平の立場で、何らの先入観を持たず、公平に審査することが絶対的な条件であります。また、そのことが厳正に守られてこそ国民の信頼が得られるものであります。しかるに、柏崎原発の安全審査には、明らかに原発を進める側の通産省の原子力発電技術顧問会が参加をして、合同審査をしています。この技術顧問会は安全審査が終わり、原子炉の設置許可が出された後、いよいよ建設する場合に電気事業法に基づいて、工事計画の詳細な設計や溶接やパイプの接続法等技術的な問題を許可する際に、通産大臣がこの顧問会の意見を聞いて許可をするのであります。すなわち、進める立場の審査であります。原子力船むつの問題から、原子力行政の洗い直しが大きく叫ばれ、原子力を進める立場の原子力委員会が原子力の規制の面も担当するのはおかしいではないかということで、推進と規制を分離をし、原子力安全局が設置されようとしているとき、むつの教訓を忘れて、またまた中立であるべき、安全審査して進める側の技術顧問会が合同審査をするなどということは、公平な安全審査の名において絶対に許されない問題であると思うのであります。いま四国の伊方においてこの安全審査について、住民から安全審査のやり直しの訴訟が提起されて問題となっているとき、このような県民が大きく疑惑を持っておるとき、知事としてこのような安全審査のやり方に対して厳重に政府に対して抗議をし、直ちに合同審査をやめさせるべきであると思うが、知事の御決意のほどをお聞かせ願いたいと思うのであります。 次に、公聴会について質問いたします。 知事は当初、電調審が通った翌日、記者会見の際、公聴会は大騒動も予想されるので希望しないと言っておられましたが、その後、6月県会での質疑の中で、2つの公聴会、すなわち基本的な問題については中央で、地域的なことは地方でというふうに言っておられましたが、今回原子力委員会と日本学術会議が合意をして、原子力の安全問題を中心に専門家、科学者レベルの公開討論会を年内に開催することが決まったということが報道されています。このことは知事の言う中央公聴会と無関係ではないように思いますが、この公開討論会は柏崎原発の公聴会とどういう関係になるのか、関係があるのか、全然別個のもので関係がないのか、明確にお聞かせをいただきたいと思うのであります。 また、柏崎原発の新潟公聴会については、すでに科学技術庁と県で数回にわたって事務レベルでの折衝が行われていると報道されているが、新潟公聴会は前には希望しないと知事は言っておられましたが、今度は希望するのかどうか、明確にお聞かせをいただきたいと思うのであります。 さらに、事務レベルでの折衝でどんなことが話し合われたのか。日時、場所、開催の方法等、話し合われたはずでありますが、具体的にお聞かせいただきたいと思うのであります。 また、この学者、専門家だけの、住民を除外したシンポジウムがどれだけの価値があるものか、私は余り意味がないと思うが、知事の考え方をお聞かせ願いたいのであります。すべての公害は科学者や専門家ではなく、住民運動の中から問題提起がなされてきたのであります。水俣病にしても、イタイイタイ病にいたしましても、六価クロムの問題にしても、コラルジルの問題にいたしましても、みんな住民の真剣な問題提起によって明らかになったものであります。 さらに、先般6月議会で田辺議員の質問の中で、いま大きな問題となっておる緊急炉心冷却系パイプのひび割れの事故の実態を東京電力に詳しく資料を公開するよう、知事から申し入れてほしいとの質問がありましたが、知事は頑として突っぱねて協力されなかったのでありますが、いま中央シンポジウムが開かれても、実際の資料が公開されないで何を一体議論をしようとするのか。だからこそ、進めるための方便でしかないと言われても仕方がないのであります。ではなぜでしょうか。すべて資料の公開が先決であります。改めて再度知事にお伺いしますが、福島1号炉、2号炉の事故の詳細な資料のすべてを公開するよう、東京電力に申し入れてほしいと思いますが、知事のお考えのほどをお聞かせ願いたいと思うのであります。 次に、巻原発の当初計画の変更についてお尋ねします。東北電力は、当初巻原発計画を発表の際の規模は1基75万キロワット、送電線29万5,000ボルトで、53年度着工、57年度完工、運転開始をすると地元巻町に公表したのであります。ところが先般、私ども反対会議の代表と東北電力側の会見の際に、安全調査等の関係で着工時期は遅れるが規模は大きくなる。すなわち、100万キロワット以上の原子力発電所建設計画に変更するようなことを明らかにしておられたのであります。そこで私は、当然計画変更されるとすれば、県や地元巻当局に対して連絡があってしかるべきだと思うが、話し合いがあったかどうかお伺いすると同時に、安全性の問題が全国的いな世界的議論になっておる今日、規模拡大については東北電力に対して白紙に戻すよう申し入れるべきだと思うが、知事の率直な御見解を承りたいと思うのであります。 また、県道巻浦浜線の道路の改良工事の用地買収に入っておられますが、これは地域住民の長い間の願望でありましたし、また原発建設とは無関係で、あくまでも生活関連道路であると、しばしば私の質問に言明されておりましたが、最近地域住民の中から、原発建設のための資材運搬道路になるのではないかという不安が高まっていますが、そうあってはならない、あくまでも生活関連道路でなければならないと思うが、その点明確な御答弁をお願いしたいと思うのであります。 最後に、河川管理と災害対策についてお伺いをいたします。 知事も十分御承知の、西蒲原郡分水町大河津から新潟市の小新を通って信濃川に放流される、1級河川であります西川は、西蒲原郡内の分水町、吉田町、巻町、西川町のいわば市街地を通っています関係上、護岸工事が完全に行われていないため、各地にひどくうてている個所があるのであります。このまま放置しておけば、一たん大洪水でもあった場合、大災害になる危険性が十分あります。そのために西川沿岸、特に河川敷地に住家を持っておる住民の不安は大きいのでありますが、早期に調査をされまして、抜本的な恒久対策と応急対策を講じ、関係住民の不安のないよう万全を期すべきだと思うが、知事の御所見を賜りまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)   〔知事君健男君登壇〕 ◎知事(君健男君) 竹内議員にお答えいたします。 まず農業政策の問題についての御質問であります。私が積極農政の展開を図ることにいたしましたのは、御指摘のように世界的な食糧事情の悪化が指摘されております今日でありまして、本県の基幹的産業であります農業は、わが国の食糧供給基地として、その果たす役割りは今後ますます重大性を加えると思うからであります。このため、県下の農業並びに農村をめぐる諸般の情勢を十分に考慮いたした上、農業生産の基本となります地力の維持培養と、中核となります担い手の確保、育成を農政の基本に置きまして、いろいろな施策を期しておるところであります。 農業基盤の整備につきましては、従前に引き続き、きわめて重要なる要素といたしまして積極的に対処いたしましたが、特に団体営土地改良事業の県費助成等を引き上げたところでございます。 また、本県農業の中心であります稲作につきましては、新潟県米生産中核集団、高能率集団的生産組織の育成、稲作団地の形成等、総合的に新潟米の生産推進を図っているところであります。 さらに、野菜、果物、花卉、養蚕につきましても、それぞれ主産地形成、価格安定対策などの措置を講じたところであります。 畜産対策につきましては、きわめて困難な状況にあります畜産経営の現状を考えまして、自給飼料緊急増産利用対策等、新しい3つの事業を加えまして、一層充実を図ったところであります。 今後におきましても、農業の重要性にかんがみまして、一層その対策を強化する考えであります。 農業高校卒業生の七、八〇%が他産業に志向する現状、これは現在農業高校が多過ぎる、二、三千名を必要としないという一つの面もございますが、確かに農業高校は本来の目的をなくしておるような結果でもあります。したがって、これは教育委員会の分野でもありますが、そのあり方について今後十分検討しなければならないと思うのであります。しかし、そのように農業後継者が少なくなってまいったのは、政府のたび重なる農政の失敗との決めつけでありますが、私はこれは世界的傾向であると考えております。そういうものに対してきめ細かなあらゆる対策を講じながら、それを抜本的に改善していかなければならない。一つのことをやればこれでよろしいというものではございません。厳しい状況ではありますが、あらゆる手段を講じて農業の重要性を見直さなければならないと考えておるものであります。 したがいまして、このような現状でありますからこそ、魅力ある農業の実現を目指しまして、長期的見通しに基づいて諸般の施策を展開しておる次第であります。農業で自立できる経営基盤の確立が理想ではありますが、本県のように限られた耕地で、すべての農家がその要件を満たすことはとうてい困難な状況であります。専業、兼業の混在する中で、将来とも農業生産を担う中核農家が委託事業等で実質的な規模拡大を図り、地域全体として生産力の高い農業が振興されることを基本として考えております。 したがいまして、後継者育成に当たりましても、技術能力とともに経営管理能力の涵養を重視しておるのであります。先般本県で開催されました全国農村青少年技術交換大会は、青少年に自信と希望を与え、人づくり運動を契機に青年グループの組織化が進み、市町村におきましても人づくり推進協議会を設置して、担い手づくりに取り組む体制が見られつつあります。しかし、これは一朝一夕にはでき上がるものではございません。長期のたゆみない努力の積み重ねによらなければ、今後とも成功は必ずしも期待できないと考えております。 土づくりの問題につきましては、昨日小笠原議員の質問にお答えしたとおりでありますが、稲わらの焼却に対して条例を設けたり、罰則で対処することは、現在のところは考えておりません。あくまでも稲わらの有効利用と土壌還元を基本として、農業者の理解と協力を一層深めていくための対策を講じて、運動の推進を図っていく所存であります。 土づくり運動は根気よく繰り返し続けることによって、私は成果が期待できるものであろうかと存じます。すでに県下には幾つかの土づくり集団が芽生えておりまして、関心の度合いも漸次高まりつつあります。堆肥づくりの品評会、展示会の実施等については、土づくり運動の中で検討してまいりたいと考えておるものであります。 次に、米の検査体制の改善の問題であります。御指摘のように、米が最近きわめて短期間に集中化しておる現状であります。ところが、国ではこの検査需要を満たして、生産者の庭先滞貨を解消するため種々努力をしておりますが、余り効果が上がったとは私も考えておらないのであります。しかし、本年度から生産者及び集荷団体と一体となりました受検計画を樹立いたしまして、受検組織の整備強化並びに受検作業員の配置による受検能率向上の促進を図るための検査体制整備事業を実施いたしまして、従来の検査体制に加えまして受検体制を整備いたし、検査の促進を図ることといたしております。御指摘のように、一層実態に沿った検査体制の抜本的改善が図られるよう、今後とも国に対して要望してまいる所存であります。 次に、原発問題でありますが、原子力の平和利用はいまや世界的要請となっておるのであります。しかしながら、御指摘のありました安全性の確保の問題がきわめて重要であることは当然のことであります。したがいまして、私は原則として国の最高機関、国の全責任において安全性の確保の努力をし、住民の不安にこたえてもらいたいというのが私の原則的な考え方であります。 先般の地盤問題につきましても、真殿坂断層につきましては、県独自の検査作業におきまして、活断層でないこと、その延長が炉心予定地付近まで延びていないことを推定いたしましたが、また同時に、これを断定するまでには至らなかったのであります。この点もはっきり指摘をいたしまして、原子力委員長に対し、これらについてより綿密かつ的確な審査をされるよう、要望書を提出しておるのであります。なお原子力委員長もこれを受けまして、新潟県知事からの要望については厳重に安全審査会において調査するよう要請されているところであります。 先般、原子力委員会が日本学術会議の後援によりまして、安全性など基本的な共通問題に対して原子力シンポジウムを開きたい旨発表いたしましたが、これはかねて私が要望いたしておりました中央レベルでの討論会と事実上同じものと考えられます。具体的な内容につきましては、今後煮詰めていくこととされておりますが、原子炉設置に関して地方で開かれる公聴会とは切り離したものとして、できる限り年内にも東京で開きたいとされておるようであります。したがいまして、当県としてはこのシンポジウムに十分期待をいたしておるのであります。 科学技術庁に対しましては、私はかねて安全性など一般論は中央で十分論議をし尽くすべきものである。地方では地域固有の問題について特にウエートを置いて論議すべきものであろう。私は先般、公聴会に必ずしも賛同しないと最初申し上げましたのは、いたずらに混乱するような福島方式の公聴会は開いてもむだであるから賛成しかねる、したがって、私は2本立ての、中央で一般論をやる、総論は東京で、各論は現地で、こういう私の考え方であったのであります。したがいまして、福島県のように混乱のない状況、反対者も参加して静かに意見を述べられる、そのような公聴会を歓迎するものであります。 現在、主催の原子力委員会では、前に述べた原子力シンポジウムの具体的な開催方法を検討しておるところでありますが、近く新潟県での公聴会の開催についても具体的な事項の詰めに入ると聞いております。現在のところ、何ら連絡はないのであります。今後、国から開催につきまして具体的に相談がありますれば、地元を中心にいろいろの立場の人たちが静穏裏に、しかも秩序ある方法で意見陳述ができる公聴会となるように協力してまいりたいと考えております。 福島の事故の問題でありますが、先般も申し上げたと思いますが、福島1号機におけるパイプ溶接個所のにじみにつきましては、国及び東京電力からの情報によると、点検の結果発表されましたが、直接外部に影響を与えるようなものではないと承知をいたしております。現在、原子力発電所におきます事故や故障はすべて関係法令によりまして、設置者から国に報告されることになっております。しかも、国が調査した結果をも含めまして、その概要は国から関係県に通知されますほか、新聞発表などによりすでに公表されているところであります。したがって、特にまた県として資料の要求をいたす考えはございません。 次に、巻の問題でありますが、昭和46年5月に東北電力が発表いたしました計画は、1号機が75万キロワットと聞いております。その後、同社からの変更の通知は聞いておりません。 また、県道浦浜巻線の道路整備は、現在巻町福井部落から五ケ浜部落までの間を整備対象として改良事業を進めておりますが、この道路の整備の目的は、あくまでも長い間の地元の住民の要望によって初めてその生活道路として取り上げたものでありまして、またその後、越後七浦有料道路に関連しての整備であります。なお、御指摘の資材運搬計画等については、全然承知をいたしておりません。 次に、河川管理の問題ですが、西川は大河津分水によりまして、洪水に対する安全度は著しく向上いたしたのであります。しかし、その後沿岸町村の市街化が進んだことから、管理上にいろいろの問題が生じておりますが、これらにつきましても、今後とも十分管理をしていきたいと考えております。 なお、本川の整備につきましては、下流部は地盤沈下対策事業によりまして、護岸等の工事を進めております。また、上流部につきましても、部分的な修繕工事を実施しておりますが、関係町村とも十分協議をいたしまして、計画的な実施ができるよう早急に計画を進めてまいりたいと考えておるわけであります。 以上で答弁を終わります。   ――――――――――――――――― ○副議長(祢津文雄君) 次に、大平武君の発言を許します。   〔大平武君登壇〕(拍手) ◆大平武君 しんがりを務めまして、私は、日本社会党の立場から幾つかの問題を提起しながら、知事に対して質問をいたしたいと存ずるのであります。 日本経済は、いまインフレと不況の同時進行の激化というきわめて異常な危機的状態に置かれており、現在の国民生活だけでなく、将来にわたって大きな不安に陥れられているのであります。 今日、ここまで危機を深め、不安を増大させた原因と責任は、紛れもなく自由民主党内閣の経済政策の重大な失敗であり、この責任はまさに自民党政府にあります。高度成長政策の強行で一挙に2けたの狂乱物価、インフレを引き起こし、公害の激増、国土の破壊、その上教育や人心の荒廃すらももたらす結果となったのであります。 この政策に対して、大資本や大企業から批判が出てまいりますと、総需要抑制という政策に転換し、しゃにむに労働者の賃金の抑制に狂奔、春闘を13%、農民の米価を14.4%に押さえ込み、景気を極度に冷却させ、不況をつくり出し、冷え切ったといっては小刻みな公定歩合の引き下げ、公共事業費の繰り上げというパターンの景気対策を3次にわたって打ち出してまいりましたが、そのほとんどの効果がなかったことは、現実の経済状況、国民生活の実情が示すとおりであります。 今後、三木内閣は第4次不況対策として、インフレにつながる安易な赤字国債を前提とした大資本、大企業本位の景気対策を行おうとしておるのであります。このことは、端的に言って列島改造、高度成長政策の逆戻りであって、再びインフレ、狂乱物価を招かなかったならば奇跡というほかはないと思うのであります。 高度成長、インフレ政策で大企業は膨大な利益をもたらした反面、中小企業者、農民、労働者はインフレの波で生活破壊、その上総需要抑制で労働者は賃金の抑圧、失業、農民は低米価で豊作貧乏、中小企業はインフレ倒産に追い込まれたのであります。さらに、今度は上からの景気過熱で再びインフレの大波にのみ込まれようとしておるのであります。 要するに、冷やしたり熱したりするたびごとにそのあらしをまともにかぶるのは中小企業であり、農民であり、労働者であり、国民大衆であるのであります。中小企業者、農民、労働者はともに戦後の日本の再建の担い手として営々として働いてまいりました。しかし、その報いは高度成長の中ではインフレ倒産、引き締めの中では不況倒産、大企業の圧迫で出血受注も余儀なくされ、経営不振でまじめな経営者が一家心中に追い込まれておるという悲惨な例が後を絶たないのであります。 しかもその上に、再びこれらの人々の犠牲の上に大型景気対策を進めるということでありますから、失望を通り越して怒りを覚えるのであります。私は、今日の日本経済の不況の原因と責任を明らかにしながら、いまこそ大企業本位の不況対策と上からの景気対策を直ちにやめさせ、地方財政の欠陥を優先的に補い、国民生活本位の景気回復を図る方針に切りかえるべきだと思うのであります。 私は聞きたい。この一連の自民党の経済政策について、また知事は自由民主党公認の知事を承知していながら、県政は県民の生活防衛のためになさねばならないという立場で知事の所信をお伺いするものであります。 第2に、中小零細企業について。 経済の変動期には、必ずと言ってよいほど中小零細企業者、労働者、農民が多くの犠牲を強いられるのであります。新潟県における中小零細企業者の地位は、県内企業の98.7%、企業者数12万4,500、従業員数73万2,000人、年間工業出荷額5,289億円、商業販売額1兆4,322億円、まさに県経済の根幹を占めておるのであります。 この県内中小企業も例外なく不況、倒産の運命にさらされております。不況を最も端的に表現しておるのは倒産でありますが、民間の信用調査機関の最近の調査によりますと、県内の企業整理倒産状況、負債額1,000万円以上を見ると、県内ではごく一部に景気が上昇過程に入ったというものの、ほとんどは低迷状態が続いており、そのため、企業の倒産も依然高水準をたどっておるのであります。負債額は戦後最高を記録しておると言われております。今年の上半期、1月から6月の倒産を累計しますと、件数で120件以上、負債額で170億円近くに達しているようであります。 問題は今後の見通しであります。この点について民間調査機関は、安定成長への過渡期であって、経済環境は厳しく、下半期も企業倒産は高水準をたどるだろう、こう言っています。また、当分の間は大型倒産の多発は続き、下請業界への影響が心配されると言っておるのであります。もしそのとおりだとするならば、さらに120件以上倒産を予期しておかねばならないのであります。 県内の現在の主要な産業を概観いたしますと、この倒産状況及び見通しはうなずけるものであります。企業活動はきわめて低調であって、特に金属工業は輸出の停滞もあって不振を続けており、機械工業でも生産活動は極度に落ち込み、操業率50%を保つのはよい方で、悪いのは20%まで落ち込んでおる企業さえあると言われておるのであります。 労働面におきましてもかつてない苦境にあえいでおり、失業保険受給者数は8月現在2万741名で、昨年同月比40%増であります。一方、新卒者の求人状況、中高年齢者の就職状況は、かつて戦後経験したことのない全く暗たんたるものであります。高度成長のしわ寄せがまさに中小企業、労働者に集中していることを物語っておるのであります。 知事、あなたは昨年知事選挙において地場産業の育成を強調してこられたのでありますが、自民党の経済政策の失敗、資本主義、自由主義経済のメカニズム、競争淘汰のいけにえにさらされておる県内中小零細企業者、労働者のこの現実を知事はどのように理解しておられるのか、その心情をお聞きしたいのであります。 なお、今後の対策もあわせてお尋ねいたします。 先日、産業経済委員会が開かれ、県内産業界の不況に対する意見が聞かれたのでありますが、その席上、各代表の強く訴えられたことは、借入金の償還猶予、信用保証協会の枠拡大が特に求められたそうであります。このことは、不況の長期化のため担保力の低下、返済能力の限界を示すものであり、今度本県会に提案されました10億の不況融資にいたしましても、きわめて限られた企業者に融資が期待される程度にすぎないと思うのであります。 今後県が行う不況融資等については、金利はもちろんのこと、返済期間の延長、たとえば据え置き1年、返済期間10年、保証枠の拡大とともに、金融機関の選別融資等についても県が十分チェックできる体制の確立を図るなどして、長期展望に立ったきめ細やかな施策を伴わなければ、仏つくって魂を入れないに等しいと存ずるのであります。知事の所見をお聞きいたします。 今日の経済状況の激変期におきまして、県内の中小零細企業者は、将来の地場産業のあり方について大きな不安と深い混迷に陥っているのであります。すなわち、荒海の中、羅針盤を失った小舟のごとし、荒波のまにまに押し流されている姿に似ているのであります。県は、いま速やかにこれらの小舟に対して正確な羅針盤を届けてやらなければなりません。 今議会に提案されました中小企業振興基本計画策定はその一環であると思うのであります。せっかくの計画であります。大企業に左右されることなく、地場産業等の特殊性を生かした産業として発展できるよう速やかに示すとともに、この計画には労働者、働く者の意見が十分反映されるよう強く希望するものであります。 第3、六価クロムの問題であります。 これについては、昨日来自民党の近藤議員並びに本日わが党の権平議員が微に入り細にわたり質問されましたので、なるべく重複する点については割愛するように原稿を直しましたので、大分チャランポランになりました。しかし申し上げます。 日本化学工業の六価クロム投棄による土壌汚染問題で、わが国の公害問題の根の深さと、聞きなれぬ名の毒物にどっぷりと浸されておる現実を知らされ、私たちはその生存の恐怖さえ覚えさせられ、次々と暴露される恐ろしさに立ちすくむ思いがするのであります。そして、企業の無責任、労働者の健康と命の軽視、相も変わらぬ行政の怠慢さがいまさらながら問われた事件であります。 本県においても、新潟労働基準局の調べによりますと、六価クロム酸の健康診断を受けた592人のうち、三条地区40人、柏崎地区18人、新津地区5人、計63人が鼻中隔症の所見が見られたと報告されておるのであります。 確かに、今回の六価クロム禍による被災者は工場労働者の職業病として起こったもので、その限りにおきましては県行政の権限外ということができるのでありますが、その責任を全く免れられるものではありません。特に今回の六価クロム禍で明らかになった点は、産業廃棄物処理体制のずさんさが問われておるのであります。このことは本県においても同様であって、せっかく昭和48年1月公告いたしました新潟県における産業廃棄物処理対策の基本計画があります。 この計画によりますと、1、産業廃棄物対策の基本方向、2、産業廃棄物処理の基本的な考え方、3、各産業廃棄物処理の方針、4、産業廃棄物処理の総合体系、5、産業廃棄物処理施設の整備、6、埋立用地の確保、7、産業廃棄物の公共処理施設の運営と設置財源等になっているのであります。そして、これらには埋立地の坪数やあるいは産業廃棄物処理施設その他の必要金額等もそれぞれ明示されているのであります。 私は、もしこの計画が実際に実行されたとするならば、新潟県におけるところの公害対策と廃棄物処理の画期的な前進があると信ずるものであります。速やかにこの実行を祈りながら、知事は本当にこの計画を実行されるのかどうか、お聞きしたいと思うのであります。 次に、今回の六価クロム問題の有害廃棄物のチェック体制の不備を補うために、業者任せであった検体の採取に市町村の職員を立ち会わせ、検査を厳重にする対策を考えているようであります。そのことについては私は賛成するものでありますが、本来、県には保健所に公害監視員が配置されておりますが、この監視員はいずれも兼務の職員であり、有害物質を取り扱う特定工場は現在新潟県に800、これに対して80名の監視員では十分その責任を全うすることは困難だと思うのでありますが、今後これらの増員に対して知事は考えておられるのかどうか、お聞きしたいと思うのであります。 先般来より県は燕、三条のメッキ汚泥の処理施設を、2,000万円の予算をもって今年中を操業目途に設置のため努力をしておられる労に対して感謝するものであります。しかしながら、県の思惑とは違ってなかなか設置の準備が進まないようであります。 これについて私の知るところを申し上げるならば、 1つ、資金上の問題。不況の長期化と相次ぐ公害施設の投資、今回の六価クロム問題でメッキ工場施設の改善が迫られておるのであります。 2つ目、運営費の問題。施設完成後の運営に自信が持てない。県による運営または公社方式等が望まれているが、県より事業者、汚染者負担の責任を言われれば返す言葉なし。 3番目に、関係市町村との話し合いが果たして十分に行われておるのかどうか。県の計画を一方的に押しつけるというような態度では、問題が問題だけに前向きの話し合いができないと思うのであります。 以上が大体早急に克服しなければならない問題点であります。 私は、産業廃棄物の処理体制全体がきわめておくれておる現状から、その一歩でも前進することを望み、県としても中小零細企業者の現状を十分把握され、汚染者責任を第一義とすることは当然とは言いながらも、その中においても温情のある施策、県民の命と健康を守るという立場で、美しき県土を汚さないという立場で早急にこの事業の進捗されることを強く希望するものであります。 第4番目、国民健康保険についてであります。 最近、医療費の増加が加速され、本年度、国民総医療費は6兆円を突破すると言われ、国民所得の5%近くを占め、国民医療費の過半をカバーしているのであります。国民健康保険、政府管掌健康保険のいずれもいま深刻な財政危機に直面しているのであります。 特に、国民健康保険は総医療費の45%の国庫補助がなされているのでありますが、70歳以上の老人加入者が健保の2倍以上含まれ、低所得層を多く抱え、高額医療費支給制度のしわ寄せを受け、軒並みに保険料の大幅値上げを迫られ、加入者の負担能力の限界に近づこうとしているのであります。 県下におきましても、三条市は9月1日実施で先般33.89%の値上げ、新潟市も昨年22%の値上げを実施したのでありますが、すでに3億2,000万あるいは4,000万の大赤字が見込まれて、値上げ必至の状態にあることを聞いているのであります。その他の市町村においても40から60%の大幅値上げが実施されているのであります。 私は、国保の事業がこのままの状態で推移いたしたとすると、やがて国民医療の破壊につながるおそれが十分あると思うのであります。 こうした中で、今日老人医療無料化の是非論、退職者医療制度の導入、高額医療費支給など、財源難的な見地からの論議が盛んであります。私は、この際、国保運営の指導に当たっておられる県当局として、積極的な財政対策を講ずるとともに、当面の問題といたしまして、本議会に陳情されている 1、国民健康保康事業臨時交付金を増額すること。 2、国保保健婦活動促進補助金を増額すること。 3、高額療養費に対する県費助成制度を創設すること。等を実施して、市町村の国保財源の確立を図っていただきたいのであります。 また、長期の展望に立っては、特に国保の実施主体の広域化、医療の機会均等、給付内容の不公平の解消、保険料、税の負担の均一化等、検討の時期であると思うのでありますが、知事の所見を承りたいと思うのであります。 なお、医師の乱診乱療、薬の過剰投与をチェックするため、適正な医療費支払いを実施するために、新潟県健康保険診療報酬審査委員会が設置されておるのであります。そこに所属する委員は知事が委嘱されるようになっておるのでありますが、この組織は公益代表、保険医代表、保険者代表の一応は3者構成になっておりますが、事実は、その事の性質上、医師でなければその任務ができないためか、本県の審査委員はすべて医師によって構成されておるのであります。とかく、医療費問題や医師の高額所得の問題等々が社会問題化しておる昨今、審査委員の委嘱の問題について考慮する必要があると思うのでありますが、知事の所見をお伺いしたいのであります。 最後に、最近各地方自治体において、消費者主権の高まりの中で消費者保護条例の制定が見られるのであります。8月現在、15の都道府県がすでに条例を制定、他に15の府県が目下条例づくりのため準備を進めているとのことであります。 私は、この条例ができたからといって、消費者保護のすべてが解決するなどという幻想を抱いたり、消費者の主権が確立したなどと期待するものではありませんけれども、少なくとも消費者主権の高まりの先導的な役割りと自覚の高まりを与えるためには、それなりの意義を見出すことができるのであります。 一ころのような狂乱物価時代ではないといたしましても、不況継続の中でじりじりと物価値上がりが進行している昨今、県の消費者行政の一環としても、県民の暮らしを守る立場に立った意欲的な消費者の主権拡大のための啓発に努めなければならないと思うのであります。したがって、本県も消費者保護条例の制定のため、今後鋭意検討する考えがあるのかどうか、知事の所見をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)   〔知事君健男君登壇〕 ◎知事(君健男君) 大平議員にお答えいたします。 今日、日本が世界的にきわめて強力になりましたことは世界のすべてが認めるところであります。このことは、わが党の長年の経済政策の成果でありまして、先輩に深く敬意を表するものであります。 御指摘の現在の経済不況の問題でありますが、国際的には石油値上げ問題を契機といたしまして進行し始めたのであります。不況下における物価高が世界経済全体を覆っておるものであります。諸外国におきましても同じく物価高の進行、景気の停滞、失業者の増大が大きな問題となっておるところでありまして、単にわが国だけが国際的に無関係ではあり得ないのでございます。したがいまして、一つの党の政策の誤りとは私は全然考えておりません。 このような経済の停滞は、単なる景気循環によります不況という問題を越えて、わが国経済が資源、立地、環境等の面におきます内外の制約要因の強まる中で、これまでの大きな成長から安定経済成長へと移行せざるを得ないという構造的変革の問題に直面している結果であります。 こうした中で、中小企業の前途はきわめて厳しいものがありますが、当面、政府による今次不況対策の効果を期待しつつ、県としても金融対策の拡充を初め、経営及び雇用の安定等、中小企業へのきめ細かな不況対策についてできる限り努力をいたしてまいりたいと存じております。 現下の経済不況の浸透する中で、本県の産業、とりわけ中小企業は苦しい状況に直面しておりますが、不況の原因はわが国だけの事情でないことは先ほど申し上げましたとおりであります。 しかしながら、鉄鋼、機械等は設備投資の冷え込みから依然として低迷を続けておるものの、県内の主要産業の一つであります繊維、金属洋食器、家庭用電気製品、家具等の業種では幾らか上昇機運も出始めているところであります。私といたしましては、政府による第4次不況対策と、県のきめ細かな不況対策等によりまして、県内中小企業の全般的な立ち直りの時期が一刻も早いことを期待しつつ、努力を重ねる所存であります。 不況対策特別資金の追加措置は、業績の低下の著しい企業が今後必要とする、主として年末と年度末の資金需要に充てるために実施するものでありまして、金利を0.25%低下させるなど、きめ細かな配慮をいたしたつもりであります。 県の運転資金関係の融資制度は、貸し付け期間が1年以内の短期資金でありますが、不況対策資金の期間は特にこれを2年としておるのであります。 また、既往の借り入れ分の償還猶予につきましても、企業の経営状態から、真に必要な企業にはケース・バイ・ケースで据え置き期間を延長する等、弾力的な取り扱いを金融機関に迫って指導いたしておる次第であります。 円滑な中小企業金融のために信用保証制度の強化拡充も図っておりまして、保証枠の拡大のため、県信用保証協会の基本財産10億円増額を3年計画で実施中でありまして、県は3億円を出捐することといたしておるのであります。 そのような種々な対策、きめ細かな対策を講じつつ、きわめて厳しい、特に零細中小企業に厳しいこの不況からの脱出を一日も早くいたしたいと努力中であります。 経済の高度成長から安定成長へと転換する中で、県内の中小企業が発展していくためには、今後の具体的な方向を明らかにすることが必要であろうかと考えております。現在、繊維、鉄鋼、機械を初め作業工具、利器、工匠具等の県内主要13業種を対象といたしまして、中小企業振興基本計画の策定を進めております。現在の段階では、できる限り年度内の完成を目途に作業を進めており、それに要する経費の追加補正を今議会にお願いしておるところであります。 その作業を進める過程で学識経験者による指導、あるいは御指摘のありました労働者の意見を入れるため、業種別懇談会、労使懇談会等の場を利用いたしまして、できるだけ幅広く各界各層の意見を取り入れながら、実現性の高い計画とするように努めておる次第であります。 次に、六価クロムその他産業廃棄物の問題でありますが、産業廃棄物にかかわる指導体制につきましては昨日もお答えしたとおりでありますが、人員とか予算等できるだけの配慮をしたつもりであります。今後ともこれが重要性にかんがみまして遺憾のないように努めます。 また、廃棄物の処理につきましては、御指摘のとおり、排出者がその処理処分を業者に委託することにより自己責任がなくなるという現行法につきましては、目下国においてもその法律改正が検討されておるところでありますが、本県では、不法投棄者の事案につきましては、法改正を待たず行政指導により排出者にも責任をとらせておるところであります。 基本計画に基づきます広域処理計画の進め方と、県の役割りにつきましては昨日もお答えしたとおりでありますが、緊急を要するものから順次関係業界を指導しておるところであります。また、特に中小企業につきましては積極的な指導助言、資金確保等を図りますとともに、具体的な処理施設の整備促進を図っておるところであります。 監視員の不足については、今後とも十分配慮してまいりたいと考えております。 次に、国民健康保険の問題でありますが、現在、御指摘のように国民健康保険の置かれた立場はきわめて厳しい現状にあります。したがいまして、臨時国庫補助の問題、あるいは保健婦活動の問題、高額保険に対する助成の問題等も含めまして種々内容の検討をしておる次第でありますが、乱診乱療という問題につきましてはなかなか一概に結論は出しにくいと考えております。 医療費の審査委員会の問題でありますが、法令の定めるところによりまして知事が任命しておるのは事実でありまして、特に公益を代表する委員とか保険者を代表する委員につきましては、公的医療機関に勤務する医師または保険者の代表にふさわしいと認められる医師を任命いたしまして、審査の公正を期しておるのであります。 御指摘の、医師以外の一般住民の審査委員の任命ということは、きわめて専門的な医療内容に関することでありますし、ましてや法令の趣旨等からいいましても適切な措置であろうとは考えられません。 次に、消費者保護条例の問題でありますが、北海道外14県で消費者保護を図るために消費者保護条例を制定しておるところであります。地方自治体におきます消費者保護行政の明確な展開を図る方策としてきわめて注目をいたしておるところでありますが、その内容につきましてはいろいろ異なっております。県、事業者、消費者の責務ないしその役割り、第2には商品等の危害の防止と表示等の適正化、第3には消費者被害の救済等でありますが、これらをいろいろ参考にいたしまして、今後消費者保護の万全を期するために前向きの検討をいたしていきたいと考えております。 以上で答弁を終わります。   ――――――――――――――――― ○副議長(祢津文雄君) これにて一般質問は終了いたしました。  日程第5 第13号発議案 ○副議長(祢津文雄君) 日程第5、第13号発議案、地方財政の危機打開に関する意見書を議題といたします。   ――――――――――――――――― ◆吉川芳男君 ただいま議題となっております第13号発議案は、提出者の外全員賛成でありますので、趣旨弁明及び委員会の審査を省略し、直ちに採決することを望みます。 ○副議長(祢津文雄君) 吉川君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(祢津文雄君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。 これより採決いたします。 第13号発議案、地方財政の危機打開に関する意見書を採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(祢津文雄君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。   ――――――――☆―――――――― ○副議長(祢津文雄君) お諮りいたします。 議案審査等のため、明10月1日から10月4日まで及び10月6日から10月8日まで7日間、本会議を休会いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(祢津文雄君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、10月5日は休日のため、本会議を休会といたします。   ――――――――☆―――――――― ○副議長(祢津文雄君) 本日の議事日程は終了いたしました。 次会は10月9日午後1時から開くことといたします。 本日はこれにて散会いたします。 △午後2時28分散会...